フリー〈無料〉からお金を生みだす新戦略

ちょっと今さら感があるかもしれませんが読みましたので感想を。
あまりビジネス系の新書を読むことは少ないのですが、フリーのビジネスモデルに興味を持ったので衝動買いしてみました。

感想

  1. フリーの歴史からデジタルにおけるフリーのあり方について説明されており、海外のフリーを利用したビジネスモデルの例なんかは単純に興味深いものでした。
  1. フリーと言っても大まかに下記のように分類されるとありました。改めてそう言われるとその通りだなと思います。ウェブだと「フリーミアム」のモデルが多いような気がします。
    1. 直接的内部相互補助
      1. 消費者の気を引いて他のものも買わせる。
      2. 例)DVD1枚買うと2枚目はダタ
    2. 三者間市場
      1. 三者が費用を負担する。
      2. 例)テレビ(企業がお金を出して、視聴者はフリー)
    3. フリーミアム
      1. フリー版と有料のプレミアム版。
      2. 例)はてなダイアリーはてなダイアリープラス
    4. 貨幣経済
      1. 対価を気にせず行われる活動。
      2. Wikipedia
  1. 上記の「フリーミアム」については、現在仕事でとある有料のサービスに関わっており、無料のとても素晴らしいWebサービスがたくさんある中、有料でサービスを提供することの難しさを感じています。DropBoxGmailの容量が約7GBも無料で利用出来るなんて本当に驚きです。
  1. アトム(物質)とビット(情報)の対比として、「ビットで作られたサービスは複製するためのコストは限りなく0に近いためフリーのモデルが成立しやすい」とありました。エディタなどのクライアントソフトでは確かにその通りだと思いますが、TwitterDropboxのようなWebサービスにおいては、インフラであるネットワークやサーバーを整備するコストは結構バカにならないし、フリーでそこを賄うことって結構大変な気がしました。Twitterって黒字になったんでしたっけ?
  1. 中国での「フリー」として、海賊品の話にも触れられています。儒教では「他人の作品をまねることは敬意の表明」とされており、真似(海賊品)することは悪だという意識があまりないという話はそうなのかぁと少し納得しました。
  1. 音楽業界はCDを売って儲けるというビジネスモデルから、フリーでもいいから音楽を聴いてもらい、ライブやグッズで儲けるビジネスモデルに移ろうとしているという話もありました。日本の音楽業界でもCDが売れていないという話はよく聞きますが、今の高校生くらいはもう、「着うた」でダウンロードしたり、TSUTAYAでCD借りてipodに入れてというのが中心なのでしょうかね。自分は古い人間なので今でもCDを買いたくなります。

(CDで聴くことはあまりないのでもったいないですが。。。)

    1. 日本ではライブも集客が減ってきているみたいなのでこれからの音楽業界がどうなっていくのかが注目であり、音楽ファンとしては心配でもあります。
  1. その他の項目としては、下記についてが印象に残りました。
    1. フリーは経済を縮小させていくと思われているが、(見えない形で)富を再分配させている。
    2. 損益分岐点を「会員に占める有料会員の割合が10%」で設定することが望ましい。
    3. サービスを作る側としては、ディスク容量などのリソースが潤沢になったとき、それをどのように浪費すればいいのか考えることが重要。
  1. Webでの有料のサービスについては、決済に対する抵抗感が壁としてあるのかなと思っています。クレジットカード番号を入力することに抵抗を感じる人は多いですし、カードにしてもコンビニ払いにしても手間が掛かるのでその手間を考えて申し込みを止めてしまうというように。携帯のように簡単に出来ればもっと利用する人も増えるのでしょうね。
  1. 一番考えされられたのは、システム化が進み仕事のコストが下がったとき、「さらに難しい仕事にチャレンジするもの」と「楽になった仕事をそのままするもの」に二分されるということです。ちょっと違うかもしれませんが、O/Rマッパーやフレームワークなどで簡単にアプリが作れるようになった時、エンジニアとしてどうするのかいうことに対してはとても危機感を感じます。アーキテクトなどさらに高度なものに携わる少数になれるか、簡単になったプログラムを作り続ける多数の人になってしまうのか。。もっと頑張らないとなと改めて思いました。
  1. とまぁ脱線しましたが、エンジニアとしてこの本を読んでみると、グーグルの話を中心に、「グーグル VS ヤフー」や「マイクロソフト VS Linux」という話やムーアの法則など読んでいて面白いところも多いです。