小飼弾のアルファギークに逢ってきた

小飼さんがアルファギーク(産業を変化させる力を持つ新しい技術に早いうちに飛びつき、技術が進むべき方向性を示す、先鋭的で飽きっぽいエンジニア)と呼ばれるとんがったエンジニアと対談を行っていく構成になっています。

この本を購入した目的はアルファギークと呼ばれる方たちがどのような思考を持っているのかということでした。

実際に読んでみると、対談形式ということもあって読み物としても面白くサクサクと読み進めることが出来ました。

〜ひとこと感想(敬称略)〜

  • (株)はてなCTO 伊藤直也
    • はてな」は、地元の京都に拠点を置き、Perlをガンガン使っている会社ということで、個人的に好きな会社なので楽しく読ませて頂きました。読んでみて、伊藤さんの考え方「なぜマネジメントをする人が必要なのか」、「会社という組織がなぜ必要か」ということを感じることが出来ました。また、伊藤さんと近藤さんの考え方の違いというのも「はてな」という組織の面白さにつながっているのかなと思いました。
  • Perl開発者 Larry Wall
    • Larry Wallのインタビューを読むのは初めてだったのでとても楽しみでした。少し日本語が話せるというのもビックリしました。Perl6のリリースについて聞かれて、「Perlが十分怠惰で傲慢になってから」という答えにLarryの人柄やPerlの性格をよく表現しているなとおもいました。Perl6はとても楽しみですが、十分怠惰で傲慢になってからリリースして欲しいなと思いました。
  • (株)ライブドア 池邉 智洋/谷口 公一/ma.la
    • 技術者視点によるライブドアを感じることが出来てとても面白かったです。SEって何?っていう視点、採用の際にコードチェックを行ったり、ブログのURLを送ってもらったりと、技術を大切にしているその姿勢はこれからも強い組織であり続けるだろうなと感じました。
  • Twitter Co-Founder Evan Williams
    • 2007年のインタビュー時と現在ではTwitterを取り巻く環境は劇的に変化しているので、組織のあり方も全然違うものになっているかもしれませんが、この方はずっと新しいものを生み出し続けるんだろうなと感じました。「好きを貫く」ことの強さを感じました。
  • The Seesar Project チーフコミッタ ひが やすを
    • Javaフレームワークstrutsくらいしか実際には使ったことがないので、Seesarの思想を知らない状態で読んだのですが、読んでみて使ってみたいなと思いました。また、JavaCOBOL化、オンとオフの切り替え、開発環境など取り上げられる話題もとても興味深かったです。小飼さんとひがさんの考え方が対照的で、対談としてとても面白いものになっているなと思いました。
  • 「達人プログラマー」著者 Dave Thomas
    • 「達人プログラマー」は未読なのですが、対談を読み、内容は難しそうですが読んでみたいなぁと思いました。コーディングという行為に高い意識を持っておられ、その方が選んだ言語がRubyということで改めてRubyの素晴らしさ、これからのさらなる発展を感じました。
  • Pathtraq/Japanize 開発者 奥一穂
    • サイボウズラボの50%ルールというのにも驚きましたが、次から次へと新しいサービスが生み出されていく中で、長いスパンをもってサービスを作っていくことの重要性やそれを受け入れるサイボウズの強さを感じました。
  • Mozilla Corporation jQuery 開発者 John Resig
    • jQueryは少し使っていて、javascriptはこれから勉強していきたいなと思っているので、興味深く読ませてもらいました。内容はかなり技術よりな話題が中心だったと思います。また、アメリカでjavascriptのコミュニティが成熟していないというのも意外でした。javascriptエンジニアはこれからますます必要とされ、増えていくかと思うので、彼の名前は今後ますます聞くことになるのかなと思いました。
  • 「バイナリー2.0」「スルー力」の提唱者 高林哲
    • 技術的な部分の話は、興味はあるものの正直理解出来ませんでしたが、技術面以外の話も面白かったです。その中で「苦手を克服するのに時間をかける」か、「得意を伸ばす」かという話題があり、これは考えさせられました。
    • もちろん得意を伸ばして自分の強みを作るのは当然重要でやるべきだと思うのですが、そればかりでいいのかということ、でも幅広くといってももちろん限りがあるわけで、その辺りのバランスは難しいなと思いました。自分としては「とんがっていたい」という気持ちと「なんでも知っていたい」という気持ちがあります。
  • Perl Mongers Ingy dot Net/Dave Rolsky/Jesse Vincent/C.L. Kao
    • Perl Mongersの方々の対談とのことで、かなり興味深く読ませて頂きました。ここでもPerl6の話が出ており、「あわてて出すべきではない」との意見に安心しました。そしてPerl Mongersの方々の新しいものを学んでいきたいという強い気持ちを感じました。
  • 「IT戦士」天野 仁史 & 「こんにちはこんにちは!」はまちや2
    • このお二人ということでJavaScriptXSSCSRFなどの話もとても興味深かったのですが、読んでいて一番感じたことはそのスピード感でした。小飼さんは「あちら側」との言い方をされていましたが、「興味を持ったことはとりあえずやってみる」、「とりあえず作ってみる」そのフットワークの軽さやいい意味での「軽さ」は見習いたいなぁと思いました。
  • [夫婦対談](株)はてな 近藤淳也・令子×小飼弾・直美
    • 夫婦対談ということで、夫婦関係のよさが仕事につながっていることを強く感じました。また「はてな」という組織についても、前述の伊藤さんと違った視点で語られており、とても興味深かったです。対談時点で存在した「ウンパルンパ部会」というメンテなどを行う部の存在も面白いなぁと思いました。サービスを生み出すことと育てること、どちらも素晴らしいことだと思いました。
  • [スペシャル対談]きたみりゅうじの 小飼弾に逢ってきた
    • タイトルを見たとき、面白い組み合わせの対談だなと思っていたのですが、その内容もとても面白いものでした。アルファギークな小飼さんに、受託開発をされていたきたみさんがインタビューを行う形式でしたので、その考え方の違い、小飼さんが感じておられる受託開発の問題点、これからのエンジニアの進むべき道など、今までの対談では聞けなかった話題がとても新鮮でした。また、モノ作りをする人は「自分をクビに持っていける状況に持っていけるかを常に考える」というのは指針となる言葉だなと思いました。
    • 後編は、小飼さんのこれまでのキャリアについての話となっており、これはもう単純に「凄い」の一言です。


全ての対談を通して、ツッコむところはしっかりとツッコむなど、小飼さんの話の持っていきかたがすごく上手いなぁと思いました。